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目指せ90越え!トラップシューティング基礎講座

トラップ射撃は1射台につき3台の放出機から様々な角度・高さでクレーが放出される単純そうでありながら撃つと命中しない、我流では通用しない奥深い射撃競技である。トラップ射撃を征するには射撃理論を心得て基本をマスターするのが何よりも近道。1ラウンドの9割以上、90枚命中を目標に練習を積み、Aクラス入りを実現して欲しい。

監修:小原銃砲火薬店 Text:竹村 吉史 Photo:佐久間 清人

 

基本射撃姿勢

基本を押さえた射撃姿勢が正確な照準とスイングを生む

 射手は1m四方の射台に立ちクレーを射撃するが、そのスペース内でのスタンスの取り方が射撃姿勢の基本中の基本となる。

 スタンス、つまり足の開き具合は、肩幅と同じか若干狭めた位置が良いとされる。スタンスが狭いと上半身の動きはスムーズになるが、身体の安定性が悪く反動に耐えにくくなり、素早く二の矢の発射に移行できなくなってしまう。逆にスタンスが広いと反動に耐える安定性は高まるが、足腰で生み出すスムーズな回転運動がし難くなる。

 射台内での足の位置は右ページの画像を基本とすれば良い。身体を射台に対して45度の位置に立ち、その際に銃身が射台に対して90度、射台中央とクレーハウスに引かれたセンターラインを結ぶ線上にあることを確認する。

 なお射撃姿勢を作った時、射台に対して射手の肩が45度方向を向き、左右45度に切れるクレーに照準できるようにしなくてはならない。その際の回転運動は、足首、膝、腰などみぞおちから下の部分を柔軟に利用し、銃を水平かつスムーズに動かせるよう練習を重ねておきたい。

 では左右の足への重量配分はどのくらいが最適なのだろうか? 一般的には前足7に対して後足が3と言われているが、実は重心配分よりも回転軸をどこに持って行くかが重要であり、それによって重心のかけ方が決まってくる。トラップ射撃はみぞおちから下の部分をフルに使ってスイングを行うため、腰は軸になり得ない。右撃ち射手なら左足のくるぶしが軸となり、スムーズな回転運動を行う。実際に左足のくるぶしを軸に射撃姿勢をとり、回転運動をしてみると分かり易いが、回転に自由度が増し、無理なく回転運動ができると思う。ここで注意しなくてはならないのは、突っ込みと呼ばれる射撃時の過剰な前重心にならないこと。回転運動時の前後への動きは御法度と覚えておきたい。さらに足の指を充分に広げ、足を地にしっかりと付けておくことも忘れないようにし、射撃用に細身のシューズを選ばないようにしたい。

 以上が射撃姿勢の基本となるが、この姿勢が確立されていれば、射手の射法によって補正を加えることもあり得る。過去にスタンス位置を変えた事でワールドカップの覇者になったイタリアの選手がいた。彼は右に切れるクレーを抜かないよう、基本45度に立つべき位置を野球のバッター同様にほぼ90度まで改造してエントリーしてきた。もちろん肩の線は45度のままで、一見変化を感じられないが、右に切れるクレーに対しては膝などの戻りのバネを利用して素早く動けるようにとられた対策と思われる。射撃姿勢の基本を身体に叩き込み、自身の苦手を克服するためのフォーム改造も必要に応じて組み込むのも良いだろう。


かっちりと決まった小原誠氏の射撃姿勢。銃は射台中心線上に位置し、左足のくるぶしを軸に上体がスイングできる姿勢が完成されている。膝が曲がっていないことにも注目。

標準的なスタンスで下半身に柔軟性を持たせるため、 膝は軽く曲げられている。使用装弾が軽くなったため、 以前のような前傾姿勢はとらず、 スイング重視の姿勢となっている。

射台に対して45度の向きで立ち、その際に射台の中心線とクレーハウスの中心に銃と目を結んだ照準線を置く。両足の間隔は、肩幅もしくは若干狭めた程度が良い。あくまでも安定している事と下半身で上体をスムーズに回転させられるかが重要となる。

スタンス同様、体側面は射台に対して約45度になるようにする。角度が浅くなるのは銃床が長い、先台を持つ位置が遠いなどの可能性があり、角度が付き過ぎる時は逆のことが考えられる。正しい射撃姿勢を作り、状況に応じて銃床加工などによる補正も視野に入れておきたい。


みぞおちから上が銃の保持と照準を作るための体勢となっているが、下半身は自然な立ち姿のまま。直立不動の姿勢は安定したスイングを妨げ、安定性も悪いため避けるようにする。


左足のくるぶしを回転軸として射撃姿勢を作るが、左足に体重を掛けすぎると素早くスムーズなスイングができないので注意する。かかとが浮くようなら僅かに後ろへ重心を移す。

肩付け

標準的な肩付け位置は❶の腕付け根付近の窪みとなるが、 体格や銃サイズなどにより、❷や❸となる場合もある。❷の上腕部肩は初矢で肩付けが外れ易く、 銃をしっかりと引きつけておく必要があり、❸は銃床位置が低くなるため前傾姿勢が強くなるので気を付けたい。

衝撃を受け止めるだけでなく照準を維持するのが肩付け

 射撃の際、銃を固定するために銃床の床尾(リコイルパッド)部を腕の付け根近辺にあてがうが、これを肩付けと言う。その昔、火縄銃は頬付けだけで射撃をしていたが、肩付けを前提とした銃床を持つ西洋銃が入ると、その命中精度の高さが皆を驚かせたという。これは銃の精度によるものではなく、銃床によって正確な照準ができたことに他ならない。銃床は発射時の衝撃を受け止めるだけでなく、しっかりとした頬付けを助け、銃身を確実に保持するためなど重要な役割を持たされた、射撃姿勢の要でもある。

 肩付けで床尾を当てる位置は、基本的に射撃姿勢を作った時にできる鎖骨と腕の付け根の間にできる窪み周辺となり、その場所がしっくりと収まるかと思う。また腕の付け根の外側、上腕部の肩に肩付けすると、スイングがし易くなる反面、銃床が肩からズレやすく、二の矢の発射時に的確な照準ができない恐れがあるため、銃をしっかり肩に引きつけておく必要がある。逆に内側の鎖骨下部に肩付けすると上半身が正面を向くこととなり、グリップを握る右手首の角度がきつくなり、自然な射撃スタイルが取りつらくなってしまう。さらに床尾を当てる位置が低くなるため前傾姿勢になりがちで、クレーを追う際にスムーズな動きが妨げられる可能性がある。

 肩付けの位置は銃床長や体型、体格、筋肉の付き方などで異なるため、あくまでも基本形をベースに自分にマッチした位置を見つけることが必要となる。肩付けは、常に一定の場所に収まるよう、練習を繰り返しておきたい。


標準的な位置で肩付けをすると、このように銃床が腕の付け根付近にすっぽりと収まり、無理なく銃の保持ができる。銃床長が身体にマッチしていることも条件となる。

 

頬付け

常に同じ照準線を得るため確実にマスターしよう

 照準は照星と目の位置を固定しないと定まらないが、 銃床に頬を当てて目の位置を固定させるのが頬付けの役割となる。正確な照準を作り上げるのに、最も重要になってくるのがこの頬付けで、この頬を当てる位置と押しつける力加減を確立しておかないと、その都度照準が変わり、当たるものも当たらなくなってしまう。例え最適な照準ができていたとしても、太ったことで頬に肉が付いてしまうと、それもまた問題となり、一流選手ともなると、頬付けをする銃床部に厚さコンマ数ミリのガムテープを1枚貼り、照準を調整することがあるというほどシビアな部分でもある。

 正しい頬付けは、口を軽く開け、銃床に頬骨を載せて頬で銃床を適度な力で押す感覚で良い。押す力が弱ければ銃と目の位置がズレ、正しい照準を維持することができず、初矢に続く二の矢の照準がままならなくなってしまう。また強すぎると顔の筋肉が硬直し、スイングや目の動きにまで支障をきたしてしまうため、適度な力加減を見つけなくてはならない。口を開けておけば銃床がスムーズに頬骨に入り、そのままコールに入れるからだ。もちろん据銃時もずっと口を開けたままでないと照準が変化するので気を付けたい。

 また頬付けをする際の顔の向きも重要なファクターとなってくる。左右の目は水平になるようにし、顔は顎を突き出す感覚でなるべく起こすことが重要。左右の目を水平にすることで目標物を正確に捉えることができ、平衡感覚も保つことができるからだ。また顔面を起こせば特に上面の視野が広がり、眼球も自由に動かすことができる。これらの条件を満たしながら頬付けの位置を探ると、自ずと頬付けの位置が前進してグリップを握る右手との距離が近くなる。一流射手の頬付けを見ると、この位置関係と必然性が見えてくる。


軽く口を開ければ、銃床が下から自然に頬に収まる。銃床に頬を載せるのではなく 銃床が下から上がって来て頬に当てる感覚も重要。同時に肩付けもできればなおのこと良い。

 

 

左右の目の高さが変わらず、銃に対する顔面の角度も僅かに抑えられている。この姿勢であれば、クレーに対して素早く照準を付けることができる。

 

×初心者にありがちな姿勢で、 左右の目の高さが違っている。頭を傾けた状態では、車の運転どころか歩行さえもまともにできないほど、 平衡感覚が悪くなる。
 

顎を突き出すようにして顔面を正面に向ける。顔が立てばグリップに顔が近づき、リブと照星との一体感が増し、身体の一部のようにスイングできる。

 

×顎を引くとやぶにらみになってしまい、上部の視界が狭まる。さらに最初から眼球が上を向いているために動きも悪く、クレーの射出方向を捉えにくい。

 

グリップ

掌全面を密着して握るが握り締めないように注意

 上下二連銃のグリップは、発射時の反動を手で受ける拳銃の様にガッチリ握り固める必要はない。反動は肩付けに任せ、引き金を引く右手の固定と銃床を肩に引き付ける役割と割り切って考えよう。 グリップを握るときは、中指と薬指、小指の三指に隙間を作らないよう、掌でグリップを包み込むようにしっかり密着させ、決して強く握らないように注意する。また肩付けへの引きつけは、前述の三指と母指球(親指下部の膨らみ)で軽く銃をまっすぐ引き寄せる感覚で良い。その際に強く引きつけると引き金がスムーズに引けなくなり、しなやかなスイングもできなくなってしまうので、 肩付けが外れず、頬付けがズレない程度の力を見つけ、基本の射撃姿勢が確立されてから自分に合った引きつけを見つけるようにしよう。 グリップを握る場所は、引き金を引く指の位置やプルレングスによって若干変わってくるが、据銃時に自然と握られる位置が自分に合っていると言える。なお、上から握れば肘が上がり、下だと肘が下がるので、一流選手の肘の高さからグリップ位置を探すのも手である。 また射撃時にグリップ位置を決めて握るのは、薬室を閉鎖して銃が一本形状になってから行うこと。薬室開放時の銃が折れた状態でグリップを決めると、 据銃時に不自然なグリップになる可能性があり、閉鎖動作中にグリップがずれることもあるからだ。また据銃中に握り直しをすると完璧なグリップが崩れるので、一度グリップを決めたら絶対に握り直しをしないことも肝要となる。 グリップと密接な関係にあるのが引き金であり、グリップによって引き金に掛かる指の位置が変わってくるため、自分なりにグリップ位置を確立しなくてはならない。引き金は人差し指の第一関節すぐ上の指の腹で、指の運動方向に 沿って引くように心掛ける。グリップや人差し指に力が入っていると引き金をスムーズに引くことができず、ガク引きとなって銃身が僅かにブレてしまう他、二の矢の発射準備ともなる引き金の戻しも確実にできないことがあるため、リラックスして適度な力で素早く引けるように練習をしておきたい。グリップの太さや手の大きさなどによって、どうしてもグリップと引き金の位置がしっくりこない場合は、銃床加工や銃床オーダーによって理想的な位置関係を作り出すべきだろう。


 ❶元台のグリップは、中・小指の三指を揃え、掌全体をチェッカリングの刻まれたグリップに密着させる。❷グリップを握った状態で引き金に自然と指が届くことも重要。届かなければ銃砲店などで調整が必要だ。引き金は指の方向にまっすぐ引く。❸グリップを握った際、人差し指と銃床の間に僅かな隙間を保つこと。ここが密着していると引き金をスムーズに引くことができない。

引き金を掛ける位置は、人差し指の第一関節の少し上部。関節上だと引っかかり、先過ぎるとガク引きになりがち。また引き金を戻しきらず、二の矢を発射できないという失態もありうる。

 

 

 

 

 

先台で銃を振らないよう銃の確実な保持が役割だ

 先台は標的に向けて銃身を動かすためのグリップと勘違いされてしまいがちだが、先台のグリップは銃の保持とマズルジャンプを抑えるためにある。 先台を支える位置は、銃のサイズと射手の体格によって少しずつ異なってくるが、基本的に銃の前後バランスがとれる部分を持ち、肘の曲がる角度が120〜130度程度になるようにすれば良い。支持点が機関部に近すぎると先台を支える手に力が必要となり、自然なフォームが取り辛く、ラウンド中に筋肉疲労が進んで正確な照準が行えなくなってしまう。逆に先台の遠くを支えると左肩の位置が低くなり、左右スイングに均等性がなくなってしまう。 先台を支える手は、掌を表に広げて人差し指を照準方向に向け、先台を掌全体に密着させるように載せる。次いで親指と中指、薬指、小指で先台を軽く握りしめるように保持すればよい。人差し指を照準方向に向けるのは、銃口の方向を射手の意識に伝達するためと、先台を強く握り締めさせない効果がある。

みぞおちから上は固定ギブスで固められた感覚

 肩付け、頬付け、グリップ、先台保持の4点が決まったら、基本的にこの4点の位置関係は一切動くことのないものとしておき、スイングする際も全て上半身が固定されたままクレーを追わなければならない。言い換えれば、みぞおちから上は銃と一体となってスイングする銃そのものだと思って欲しい。つまり上半身を柔軟にスイングさせるのは、みぞおちから下の身体であり、あくまでも上半身で動くのは眼球と引き金を引く人差し指だけである。これを自分のスタイルとして完璧にマスターできれば、スタンスと併せて理想的な射撃スタイルが完成したと言えるのだ。

先台のグリップは、掌全体をチェッカリングに密着させ、人差し指以外の3本で握る。指を無理のない程度に照準先に向けると、クレーを追うときに銃の動きと感覚が近くなる。

 

 

先台をグリップする位置は、先台の長さにとらわれず左肘の曲がる角度を参考にして欲しい。×印と比較しても自然な構えなのが見て取れる

 

×先台の先を持ち過ぎると肘が伸びるため、左肩が前に出て顔面の角度も大きくなってしまう。また左肩が落ちやすいので水平なスイングにも支障が起こる。
×先台の機関部近くを持つと銃の重さが左手に大きく掛かるため、疲労が進み正しい照準もままならない。スイングにも影響が出るため即時矯正したい。

 

射撃前にグリップを決めるのは据銃姿勢をとる時にする。日常のイメージトレーニングができていれば、自然にグリップ位置を握ることができる。

 

照準I

命中への絶対条件となる正しい照準を身につける

 照準というと一般的にライフルの照門、照星の関係を想像し、リブの水平線上に標的を置きたくなるが、トラップ射撃のそれは異なる。国際ルールに則った放出機から放たれたクレーは秒速約30mで飛び出し、速い速度のまま上昇して行く。つまり上昇しているクレーを落とすため、若干銃身を上に向けて撃たなくてはならない。そのため目の位置をリブより高めにして、照門を上げた状態を作り上げて撃つことになるが、それは中間照星と照星の位置関係で覚えるのが碁本となる。据銃姿勢からリブを通して見える中間照星と照星は、写真のように見えるので、 照星と中間照星がダルマ形状になるように頬付けなどで目の高さを調整したい。

正しい照準と射撃姿勢を得るためには、銃床のサイズが射手の身体に合っていなくてはならない。基本的に日本人向けの銃は日本人の平均値で作られているので、リコイルパッドの追加や銃床加工によって自分の身体に合わせたい。サイズが合えば、おのずと点数も上がってくるものだ。



金色の中間照星とオレンジの照星がダルマ状に見えればOK。正しい照準ができた状態で射手を正面から見ると、リブ上面の延長線上に瞳の下縁がくる。



×照星に中間照星をダブらせないように。これはライフル的な照準で、クレーの下を撃つことになる。この場合リブ上面の延長線上に射手の瞳の中心がきている。



×中間照星と照星が離れ過ぎていると、銃口が照準線より上を向いているため、 実際にはクレーの上部を狙っていることになる。射手の瞳はリブ上面よりかなり上になっている。

 

なぜか的中率が上がらないそんな時はパターンテストを!

 基本的な照準方法にしたがって撃つものの、思うように命中率が上がらない場合は、照準そのものが正しくできているかチェックすることをオススメする。自分の撃った散弾が標的のどこに着弾しているかは、パターンテストによって目視する事ができるので、パターンテストができる射撃場に行ってテストをしよう。 パターンテストは約40ヤード(36.5m)先の標的紙を撃ち、散弾の広がり(パターン)を見るテストだが、同時に自分の照準で撃った散弾が標的のどこに着弾しているかも見ることができる。パターンテストは射面を貸し切るため、射撃場に事前問い合わせと予約が必要となるので注意が必要だ。

パターンテストは射台から40ヤード離れたパターンテスト用紙を撃つ。正しい照準を見直す方法として、理に適いかつ効率的な方法といえる。

 

 

若干上部に弾着


トラップ射撃の場合、クレーがどんな方向に放出されても必ず上昇しているため、狙った所より6〜7割上部に着弾するのが望ましい。

 

 

 

 

 

 

×下部に弾着


パターン用紙の照準点より着弾が下部に集中してしまった例。理想の着弾エリアに僅かなショットホールはあるが、クレーを割る密度はない。

 

 

 

 

 

 

×上部に弾着


散弾の着弾が上部に集中しているパターン例。下部よりクレーを割る確率は高くなってくるが、照準を見直さないと90越えは難しい。

 

 

 

 

 

 

射撃の照準で重要となるマスターアイと両眼視

 人間には利き手と同様に利き目がある。一般的に利き手が右なら利き目も右である事が多いという。利き目の確認方法は簡単。指でOKマークを作って腕を伸ばし、その丸穴から両目で離れた目標物を見る。そのまま交互に片眼を閉じると一方の目が目標物を捉えており、その目が利き目と判断できる。 クレー射撃では両目を開けた両眼視でクレーを追わなくては不利となる。この際、照準線上に置く目が利き目でないと正しい照準はできないので、利き目が逆の場合は今すぐに補正しておきたい。利き目を薄目にするか、シューティンググラス用の補正テープなどを利用してみるのも良いだろう。

利き目はOKマークの中に目標物が収まった側の目となる。右射手なら右目が必須。

 

逆目だった場合、利き目補正用の用品があるため、忍耐強く補正したい。

照準Ⅱ

射撃前に銃口を置く位置はクレーハウス上面が基本

 射台で射撃姿勢が整ったら、コール前に照準を放出機のあるクレーハウス周辺に定めなくてはならない。基本はクレーハウス上面に引かれた白線の先端に照準を置けばよいが、自分の射撃が一定のスキルに達したら、射面のセットによって高いクレーが多い場合は僅かに上、低いクレーが多い場合や雨天などでクレーの飛行線が低くなりがちの時は若干下を照準するなど、 照準位置を変えることによってさらにクレーを的確に捉える事ができるようになる。 ちなみに小原氏の照準位置は、基本形からすると高めの位置に置いているという。これではクレーを視野に捉えるのが遅くなるのでは?と考えてしまうが、セットを構成する放出機の位置関係からすると、これもまた理論に基づいた射法のひとつである。

射撃姿勢が整ったら銃口を動かさずにコールする

 射撃姿勢と照準位置が定まったら、クレーを放出させる合図を送るが、それをコールと呼ぶ。射台前にスピーカーのようなマイクがセットされているが、そこに向かってコールする必要はなく、射撃姿勢を崩さずにそのままの状態で発声すれば良い。その時に気を付けたいのは、銃口が動かない発声でコールすること。そのためにも頬付けの際に口を半開きにしておくと良いのだ。射台から聞こえてくる「はぁー」「あ”ー」というコールは、まさに銃口を動かさずに発声できるので最適といえる。



クレーは1射台に対し3台のプーラーから射出される。それぞれ射出角度や高さなどを変えて固定されているため、冷静な記憶力を持っていれば消去法で射出予測の確率を高めることもできる。


コール前に銃口を置く位置は、基本的にクレーハウス上面となるが、クレー放出機のセットにより高いクレーが多い場合は少し上、低い場合や雨天で低く飛びがちの時は手前にすると良い。



トラップ射撃で4度の全日本選手権そして国体個人優勝を達成した小原誠選手は、コール時に銃口を置く位置が高い。3台の放出機から放出されるクレーの交点に照準点を置くことで、飛翔方向と逆から飛び出すクレーの無駄な情報をカットしているのだ。特に放出直後のクレーは速く感じられるが、高い位置に置かれた銃口付近から飛び出すクレーなら余裕を持ってスイングができるという。これは誠氏の師匠である小原征男氏の指導でガンショップ・オバラシューティングクラブでも実績を挙げている射法である。現在、誠氏は全国の射撃クラブ等から射撃コーチを依頼され、射撃テクニック向上への道を切り拓いている。

 

 

 

 

 

 

スイングの動きを射手の上部から見ると、上半身はギブスで固定されたように、 下半身で動いていることが見て取れる。

 

 

 

 

 

 

 

左に続く画像だが、腰がリードしてスイングを始めているのが分かる。銃を保持している上体は全く変化なし。

 

 

 

 

 

 

 

左45度に切れたクレーを狙った姿勢。膝と腰などを柔軟に使ってスイングしているのが分かる。

 

 

 

 

 

 

 

射撃姿勢から右に銃口を振り始める時は、左へのスイングに比べて銃が先に走りがちになるので注意する。

 

 

 

 

 

 

 

右に飛ぶクレーを追っているが、身体が開いて照準が外れないように上体を固定しておくことを忘れずに。

 

 

 

 

 

 

 

右45度に切れるクレーでは身体の安定性が落ちるが、左足のくるぶしを回転軸にしていれば前のめりもなくなる。

 

 

スイングI

スイング最大の注意点は照準点を絶対に保持する事

 クレー射撃では追い越しざまにクレーを撃つスイング射法と、クレーを追い越して同じ速度でクレーの前を撃つリード射法が一般的とされるが、ここではトラップ射撃に最適と思われるスイング射法について触れていくことにする。 クレー射撃は放出されたクレーを正しい照準で追い、適当な狙い越しを計って引き金を引きクレーを粉砕するスポーツ。これまで紹介した射撃姿勢と正しい照準ができていれば、あとはスイングと狙い越しをマスターすることで得点も伸びるはず。しかし多くの射手は、このスイングと狙い越しの問題でクレーを抜いてしまっており、ここが90点を超える要ともいえる。 スイングは、前述した基本の総集編でもあるので、今一度振り返って各部をチェックしておきたい。スイングで重要な点は、据銃時に決めた上半身の関係を崩さないことであり、実際に目がクレーを追ってしまい、遅れて銃身が付いてくるなど、目が照準線から外れたことで失中している射手が多いという。 目の動きを追って説明するならば、コール時の照準位置ではしっかりと照準線を押さえつつ、放出されたクレーが視界に入ったら、そのまま目だけでクレーの飛ぶ方向を確認し、再び目を照準線上に戻して照星でクレーを追うことになる。つまり射撃姿勢で決めた上半身の関係は全く崩れることなく、別の動きをするのは眼球のみでそれも一瞬だけのことである。この手の癖は射手自身が目の動きを意識して直さないと、改善することはできない。 スイング射法はクレーの飛行線を照準線上で追い、クレーを追い越しながら引き金を引く射法だが、ここで明確な答えがでないのは狙い越し、つまり追い越したどこで引き金を引くかである。 クレーの初速は秒速約30m、散弾の初速は秒速約330mのため、 クレーが放出されてから0.6~0.7秒後にクレーは約20m飛び、狙い越しを最も必要とする左右45度の場合は射台から約32mの距離になる。その距離まで散弾が到達するのに要する時間は約0.1秒で、クレーの飛行距離は約3mとなるが、射手から見たクレーの移動距離は約0.8m。しかし実際には射手がクレーを捉え、指先に信号が送られ、撃鉄が落ちるまでの時間も要しており、その間クレーを追い越しながらスイングされているため、 0. 8mもの大きな狙い越しは必要としない。さらに切れの良い松葉バネ式とコイルバネ式、引き金を引くスビード、スイングの速さなどによって変わってくるので回答が導き出せないのだ。残念ながら狙い越しの距離は射手自身が実際に射撃を繰り返し、ここという位置を見つけ出すしか方法はない。 スイングで注意する点は、初矢の発射でスイングを止めず、しっかりフォロースルーを行うことだ。二の矢への準備を怠れば、クレーを抜いてしまう確立も必然的に高くなってしまう。

スイングⅡ

射場に行けなくてもできるトレーニングのすすめ

 ここまで紹介してきた一連の動作は、身体に染みつくまで繰り返し、幾度となくチェックをするべきである。全ての動作が身に付いている一流選手でさえ、日々のイメージトレーニングが大切という程、クレー射撃の上達に欠かせないことだ。イメージトレーニングの方法として、室内の壁などにクレーの飛行線を書き、実射をイメージしてトレーニングを積むことも効果が見込める。 姿勢、銃の重さ、感覚、動き、スピード、タイミングなど、日常とは異なる射撃に適合する身体を作り上げ、実射で効果を体感して自分なりの補正を加えて行く。そのスタイルを確立し、ぜひともオーバー90を目指して欲しい。

一般的な射手はクレーが放出されてから0.6~0.7秒で引き金を引いている。その間クレー (a)は20m飛んでおり、射台からの直線距離は約32mとなる。この時点で撃鉄が落ちたと仮定すると、初速約330m/秒の散弾(b)がクレーに到達するのに要する時間は約0.1 秒。なおその0.1秒の間にクレーは3m飛び、その差が狙い越しとなるが射手の位置から実は0.8mしか移動していないのだ。しかしスイングによってクレーを追い越していることや、引き金を引くタイムラグもあるため、決定的な数値は出せない。とは言
え、さほど大きな狙い越しを必要としていない事は想像できる。

イメージトレーニング用シートを作ろう

射撃姿勢のイメージトレーニングは銃があればいつでもできるが、照準とスイングのイメージトレーニングはなかなかイメージが湧きにくく、実射に近いスイングを行うことはできないもの。 下の画像は、射場の背景にクレーとクレーの飛行線を合成したものだが、このようなトレーニングシートを自作してイメージトレーニングに取り入れるのも効果が見込める。もちろん背景を省略して室内の壁にテープやピンで仮想飛行線を引くだけでも良く、様々な飛行線を設定すればトレーニングに深みも増す。 イメージトレーニングでは飛行線を辿るだけでなく、射台に立った時から射撃姿勢を作るまで、さらに正しい照準が保持されているか、膝や腰によるスムーズなスイングができているか、引き金を引くタイミング、フォロースルーへの移行などを含めた一連の動作として効果的なトレーニングを行いたい。 また日々のトレーニングを行うことにより、銃を自分の身体の一部のように動かすことができ、必要な筋力が増強されることで銃の重さも軽く感じるようになるはずだ。