ガンギャラリーGUN GALLERY
Antonio Zoli/アントニオ・ゾーリ
受け継がれた血統の証 熟練工の技が生み出す名作
14世紀から受け継がれてきた血統と、時代に沿ったその銃造りから、銃器製造界のサラブレッドと評されるアントニオ・ゾーリ。市場が求める銃を高品質で…という信念と情熱を原動力に、アントニオ・ゾーリ社の発展は続き、現在も世界に通用する名作を次々と生み出している。アントニオ・ゾーリのルーツは、現在も同社が本拠を置くイタリア・ブレシア県の工業都市ガルドーネ・ヴァル・トロンピアにほど近いマーニョに始まる。マーニョは、14世紀の昔からベネツィア、ピエモンテ、ナポリの政府に納入された銃の生産地として名高い集落であり、当時の記録によればゾーリ家の人々は、1490年には既にこのマーニョで銃職人として活動していたという。現アントニオ・ゾーリ社(Zoli Antonio S.R.L.)の創業者であるアントニオ・ゾーリが生まれ育ち、優れたガン・スミスであった父親ジョゼッペがガンショップを営んでいたこの地で、彼が銃器メーカーを起業するに至ったことは半ば必然であり、脈々と受け継がれた血統の証でもある。1945年に創業し、敗戦という過酷な状況の中復興に臨み、当時のブレシア近辺の人々に共通する起業家魂を象徴する存在として、早い時期から新しいトレンドを見据えた開発を行った。そして1950年代、高品質で堅牢な水平2連散弾銃を市場に送り出し、アントニオ・ゾーリ社は、それ以降高性能散弾銃メーカーとして頭角を現していった。「機能や性能のみでなく美しさも忘れない」という開発理念のもと、鍛造モノブロックの堅牢なフレームやボスタイプロックの採用、人間工学に基づいたトリガーの造形、未然にトラブルの発生を防ぐコイルタイプのメインスプリングなど、あらゆる部分にこだわる新発想と技術の集大成が、ここに紹介するクロノスシリーズである。常にトレンドやニーズを捉えつつ、良いモノは変えないという普遍性もまた、アントニオ・ゾーリの魅力のひとつである。
目立たない位置に “ZOLI” のロゴが配されたレシーバーボトム。美しい研磨仕上げが目を引くレシーバーは、トラップはシルバー、ブラック、スポーティングはブラック(ホットブルー)で仕上げられる。 | モノブロック構造の機関部が銃の基礎となっているクロノス。パーツはすべて鍛造合金鋼が使用されており、これらのコンポーネントが堅牢かつ高精度な機関部を形成している。 | トリガープレートのメカニズムは機関部から完全に独立しているため、発射メカニズムからの影響を受けにくく、長時間の頻繁な使用でも高い調整基準が保証される。また、取り外し可能なトリガー機構は、不測のトラブルにも迅速に対処でき、メンテナンスも容易だ。 |